書評

今度生まれたら

今度生まれたら

今度生まれたら、もう一度同じ人生を歩みたいですか?それとも全く違う人生が良いですか?戻れるとしたら、どの時代に戻りたいですか?人生やり直したいですか?

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今度生まれたら/内館牧子

  • 出版社 : 講談社 
  • 発売日 : 2020/12/3

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70歳。。。私自身はまだ70歳まで20年以上あります。70歳の人生は全く想像できません。70歳になったときに「今度生まれたら」をテーマに何を考えるのだろうか。あと20年ある中で、この20年の行動次第で「今度生まれたら」の妄想内容が大きく変わりそうです。今現在で「今度生まれたら」を考えてみると、あまりやり直したい時代もないし、あっちの道を選んでいたらもっと幸せだっただろうな、と後悔することもあんまりない気がします。生活費が4年弱ゼロで暗闇の生活だったことも、破産して経済的にしんどかったことも、離婚するまでの道のりがつらかったことも、笑い話にできるまで昇華されました。例えばこの「今度生まれたら」の本を5年前に読んでいたら、人生やり直したいことだらけだった。本に出会うタイミングって本当に面白い。

「今度生まれたら、この人とは結婚しない」

70歳の主人公がつぶやくところから物語は始まります。
ある日夕刊の記事に自分のコメントが載り、
佐川夏江さん(70)
という一行でショックを受ける。自分は(70)か。と。(69)と(70)ではまるで印象が違う。何度見ても(70)はショックだった。
(70)という年齢以外、何も持っていないバアサンだ。70年を歩き続けて、結果、死のうが生きようが社会には何の影響もないバアサンになった。
70ではもう先が見えている。「年齢は関係ないわ」とほざこうが、残された時間は少ない。体も頭も衰え気味で、今さら人生を変えるようなことはできっこない。
諦めを感じた時につぶやいた「今度生まれたら」
人にはだれしもターニングポイントがある。多くの場合、その道は二本だ。二本のうち、もしも、選ばなかった方の道を歩いていたらどうだったろう。人生はまったく別のものだったはずだ。。。。。

70代のリアルな生活内容が親近感湧いて、”ああ、自分の母親もこんな風に思ったりすることあるのかな”と。聞いてみたい気持ちにもなりました。年金に恵まれている世代でも、昔は苦労もたくさんしたし、今は今で変化が激しい世の中に一生懸命対応しようとしている。きっと知らない苦労や悩みを抱えているんだろうなと思ったら、両親に感謝を伝えたくなりました。
そして、必ず自分にも訪れる老後。他人事としてとらえている場合じゃない、あと20年しかないんだ。20年後にまたこの本を読んで、その時は「今度もまた同じ人生でいいかも」と思いたいですね。