書評

ザッポス体験

究極の顧客サービスザッポス体験

顧客第一主義の最強企業。リッツカールトン、オリエンタルランド、そしてザッポス。
ザッポスという企業は耳慣れない方も多いと思いますが、靴のオンラインショップです。もっと言うと、アメリカで超有名。もっともっと言うとAmazonが800億円かけても買収したかった企業です。そして2009年7月からAmazonの傘下に入っています。

究極の顧客サービスザッポス体験/ジョセフ・ミケーリ

  • 出版社 : 日経BP 
  • 発売日 : 2012/5/8


究極の顧客サービスで有名なエピソードがあります。
①扱っていない商品を求められた時、対応した従業員は他社を探し回って、お客様の求めている商品を見つけ紹介した。
②お客様からの電話に制限時間はない。何時間でも耳を傾ける。最長記録はなんと7時間28分!!
①に関しては、近所のおばちゃんレベルの親切心で、そこには会社の利益は生まれません。ましてや従業員が他社の売り上げに貢献してしまっている。
②は8時間という一日の労働時間のすべてをお客様1人にかけている。単価の低い仕事になっています。

では、なぜそのような事が可能になっているのでしょうか。
従業員側からしたら、「面倒くさくて時間のかかる仕事」として嫌がられそうなものです。

ワオ!①社風に合わないと感じる新入社員には気前よく退職金を出す。
企業の価値観は、優先順位と資源の遣い方に現れる。言葉だけでなく、行動が人間を大切にする。人を大切にして、大切に育てていこうとする環境がある。ザッポスはともに時間を過ごしたい人間だけを選ぶ。つまり、仕事以外でも同僚と付き合えるか。同僚とともに楽しみながら成長する。信頼が広がっていくと、ワオ!と叫びたくなるような素敵なことが起こる。

ワオ!②ちょっとイカレている事が大切にされる。
出勤したら、クマのプーさんが駐車場を走って行くのが見えた。そう、ここがザッポス!型にはまらない、型破りなビジネス。安住しないで進化することが大好きな会社。ワオ!の連続。

ワオ!③全員が共通の目的のために働いている。
企業文化への貢献。価値観の体現を重んじる。勤務評価の廃止。
実績重要ではなく、成長・発達を促す評価。もし大失敗したとしても、そこから学べればまったく問題なし。挑戦を妨げるような障害は何もない。
ワオ!③顧客がワオ!と感動する。
顧客の期待は予測期待と常識期待。サービスが期待を上回ったとき、心が通い合ったと感じた時、これを超えた時がワオ!。顧客が何を望んでいるのか、問題解決までの面倒をなくす。トラブル最小、スルッと購入するという快適な体験を実現するためには、正確さや的を外さないことが重要。最悪なサービスと見事なサービスを分けるのは、損得勘定を抜きにしたほんのちょっとの気遣い。

ワオ!④幸福を届ける事に尽きる。
人は認められることでやる気が起きる。人と人との繋がりは替えがたい財産となる。社員と顧客をハッピーにすることが、長い目で見て利益と成長を約束してくれる。

ザッポスという会社はなんてはちゃめちゃな社風なんだろう、、という印象でしたが、本来はこうやって楽しみながら働くものではないのかな。毎日がハッピーアワーなら、喜んで出社します!