書評

あやうく一生懸命生きるところだった

あやうく一生懸命生きるところだった

人生は長い。一生懸命に!頑張って!365日死ぬまで一生懸命。
356日死ぬまで頑張る。
辛くないですか?そんなものに毎日振り回されて幸せだと言えるのかな

あやうく一生懸命生きるところだった/ハ・ワン
出版社 ‏ : ‎ ダイヤモンド社
発売日 ‏ : ‎ 2020/1/16

疲れるんです。
毎日生きていると。
寝れば疲れが取れれば良いよ。寝れば良いんだから。
いやいや、そういうのではなくて、寝ていても疲れる。
起きた瞬間から疲れる。
一日が始まったばかりなのに、まだ家を出ていないのに、
「もう帰りたい」
そんな気持ちになったことありません?

あと10分我慢して登れば山頂だと言われてひいひい登ったのに
10分たっても頂上は現れなかった。
もう少しだよ、本当にここからあと10分だから・・・・。
その言葉にダマされながら40年も山を登り続けてきた。
ここまで登ってきたついでにもう少し登ってみることもできる。
必死に登り続ければ何か見えてくるかもしれない。
でも、もう疲れた。
気力も体力も底をついた。
チクショウ、もう限界だ。

こんな経験、誰でもあるのでは?
自分の中ではもうこれ以上無理って思ってる。やめてしまいたい。
そうすると誰かがいう。
「今辞めるなんてもったいない」
「もう少し続ければなるって」
「そんな事で辞めていいの?」
「もう少し考えてみたら」

誰一人、
「十分頑張ったね」とか、
「辞めていいよ」とか、
「そっか。そこまでやったならもう良いよね」とか、
労いなり、自分の心に寄り添ってくれる人なんていない。

いったい誰のための人生を歩んでるんだ?
そもそも自分はいったい誰のために生きてる?
自分のために生きちゃあいけないのかい???
自分の人生に他人の許可なんて必要だったっけ???

社会には”この年齢ならこれくらいは”という「人生マニュアル」が存在する。
誰も見たことがないのに誰もが知っているマニュアルだ。
そして、誰もがそれに合わせようと努力する。そうじゃないと不安だから。
自分だけが取り残されているような気がするから。。。

「高校卒業したら大学行くんだよね?」
「まだ結婚してないの?」
「子どもはいないの?」
無意識に悪意無く言われる一言。
みんなが正しいと信じる価値観に同意しないものへの暴力。
本当は大学は行きたくなくて就職するのに、、、
結婚する気がない、子どもが生めない体なのに、、、
その道を通らないと「え?!」「なんで??」って顔される。

他にもある。
「みんなしてるから」
「みんな持っているから」
みんな、みんな病。
本当はみんなと同じにしたくないのに、みんながしてるから自分も仕方なく同じようにする。

ちなみに私は「みんなと同じ」に嫌悪感を抱いていたので、子どもからの
「みんな持ってるから買って」
「みんなしてるからうちもやって」
にはNO!と言っていました。
「みんなって誰と誰の事を言っているの?」
「みんなって何人の人が言っているの?」
「みんな持ってるっていうけど、持ってない人は一人もいないわけ?」
「じゃあ、みんなが持ってなくても欲しいわけ?」
みんなが正しい=我が家もそれに従う
ということはしていませんでした。

みんなとの世界の学校VS自分の意志で決める家庭
せめぎ合いです。
特に中学生くらいまでは「みんなと一緒」が安心します。
みんなと一緒が叶わない子どもは、学校でもどかしい思いもしたことでしょう。
同じく親としての私も、みんなと一緒にしてあげた方が子どもにとって良いことなんだろうか、と悩んだこともありました。
子どもの「みんなと一緒」期から自分の意志を尊重期へ移行しつつあるときは、学校とかなりぶつかったと思います。
学校は「みんなと一緒」が好きですからね。
「みんなと一緒」という子育てをしていない親(私)は三者面談で先生とバトルしていました。
でも、我が子の意志を全力で応援できるのは親だけです。
先生は「学校内で円満に」できれば、その後の責任はありません。
「みんなと一緒の子育てをしていなくてごめんね」
「学校生活を送っている本人としては、学校と自分の考えが合わなくて大変だよね」
と、子どもに対して申し訳ない気持ちになったこともありました。

でも、現在は2人の子どもはそれぞれ自分の意志で人生を生きています。
自分で考えて自分で決める。
世間の意見とか「人生マニュアル」は関係ない。
他から何を言われても耐えられる精神力を持つようにもなりました。

私の方は、、、会社員生活に疲れたりしています。
なので、この本を読んで一生懸命頑張らない生き方を学んでいます。
一般社会と自分の考えの相違に苦しむ日々もあります。
こうして頑張らなくても良い本を読んで、ますます頑張らない人生を歩んでいこうと決心するのでした。