書評

交渉力 結果が変わる伝え方・考え方

交渉力 結果が変わる伝え方・考え方

橋下徹が吠えています。
Twitterでも吠えまくり。
でもこの吠え方、私は好きですなあ~。説得力あるし、すんなり理解・納得できます。
その吠え方とはどんなものなのか??

交渉力 結果が変わる伝え方・考え方/橋下徹

出版社 ‏ : PHP研究所‎
発売日 ‏ : PHP2020/3/13‎ 

38歳で大阪府知事、42歳で大阪市長となれば、部下は年上ベテラン職員ばかり。
あまり歓迎ムードではなかったアウェイでの就任。
橋下徹はその中で数々の政策を断行していく。
政策を断行する指示に対して「そんなことはできません」という猛反発。
権力をふりかざして強制的に行使しては組織は動かなくなる。
職員の協力を得るには「交渉」で話をまとめることが大切。

さて、橋下徹はどのような方法を取ったのか

「交渉」というと難しいイメージがあるが、「話し合い」「協議」と言い方を変えると少し柔らかい雰囲気に。
「交渉」は決して「相手との闘い」ではない。実際には「自分との闘い」だ。

1.どれだけ自らの要望を整理できるか。
2-1.絶対に獲得しなければならない目標のために
2-2.他の要望をいかに捨てる決断ができるか。
3.相手の要望をいかに推測しながら整理できるか。

私の実体験で「交渉成功」となったのは”離婚”。
橋本徹の「交渉力」のポイントを自分にあてはめて整理してみると、、、

1.自分の要望
・別々に暮らしたい。(家を出たい)
・離婚したい
・子どもは連れていきたい
・養育費は払って欲しい
・家電も持って出ていきたい
・車も持っていきたい
・慰謝料欲しい
・円満に離婚したい

2-1.絶対に獲得しなければならない事
・別々に暮らしたい(家を出たい)
・円満に離婚したい(後腐れなく、お互いの幸せのために気持ちよく別れたい)

2-2.他の要望を捨てる決断ができるか
・離婚したい(離れて暮らせれば、紙切れだけの問題なのでとりあえずはOK)
・子どもは連れていきたい(自分の意思で決断できる年齢なので、子どもに任せる)
・養育費は払って欲しい(父親としての責任は本人に委ねる)
・家電も持って出ていきたい(子ども部屋のエアコン2台は持って行っても困らないだろう。電子レンジも不便にはならないだろう。他は家電量販店でバイトしている息子に割引してもらおう)
・車も持っていきたい(維持費を考えたら、必要なときにレンタカーでOK)
・慰謝料欲しい(自分で稼いで生活出来るから、稼げばいいや!)

3.相手の要望を推測する
・今までと変わらない生活(私が出て行くことで、引っ越しをする必要はない)
・急に不便になるのは困るだろう(家具も家電も生活必需品もそのまま置いていけば不便はない)
・子どもには会いたい(父子関係に関しては口出ししない)
・お金払いたくない(期待しなくても生活できる)
・離婚したくない(別居でもOK)

ここまで決まったら、実際に交渉です。
交渉は、「相手に何をどれだけ与えるか、何をどれだけ譲るか」で決まる。
こちらがマイナスにならずに、相手には利益になるものを見つけだす作業が大切!

離婚したいあるある話。
なんでもかんでも欲しがってなかなか離婚出来ない人がいる。
・慰謝料、養育費、旦那さんの給料丸ごと欲しがる。
・子どもは当然連れて行くし、会わせたくもない。
・あなたが家を出て行けばいいでしょ!
これじゃあ、反発されて長引くだけ。

最終的に私が獲得したのは
・家を出て離婚した(交渉から1か月弱で成立)
・子どもと一緒に住める(子どもの意思を尊重)
・養育費(下の子が大学卒業するまで)
・家電欲しいのは何でも持って行っていいよ(エアコン2台、電子レンジ、扇風機)

相手が獲得したもの
・住居
・車
・子どもと好きなときに会う(子どもと直接交渉)
・養育費の金額は自分で決める(私からは金額の提示及び支払い請求は一切なし)

交渉力・・・本当に自分との闘いだったなあ。でも、おかげで絶対に獲得しなければならない「円満に離婚したい」をも実現することができました。

もっと簡単な「交渉力」は日常生活でフル活用できそう。
実践的な交渉では、「三つの手法」だけ知っていればOK!

相手を動かすためには、
1.利益を与える(譲歩する)
2.合法的に脅す
3.お願いする

実にシンプルだが、汎用性、普遍性があり、弁護士の事件解決に向けての交渉だけではなく、どんな交渉にも使える。
国と国との外交交渉においてすら、この手法が使える。

例1:こちら側はマイナスにならずに相手にとってプラスになる方法「仮想の利益」
ビジネスの世界では、期限の設定に使われる。
あらかじめ長い期限に設定しておいて、相手が「期限を延ばして欲しい」と言ってくる。
期限を延ばすことは相手に利益を与えたように見える。

例2:お客様を待たせてしまうとき。
あらかじめ多めの時間を伝える。
「30分ほどお待ちいただけますでしょうか」
実際には15分で案内できるとお客様は
「早く案内してもらえた」となる。

日常生活から政治での交渉までの応用力は半端ない。
ハイレベルの交渉力は思わずうなり声が出てしまうほど。
橋下徹の手腕おそるべし!
弁護士時代、大阪府知事・大阪市長・「維新の会」代表時代に身につけてきた交渉力の要諦は、小説を読んでいるよう。
交渉の結果が気になって、のめりこむように読みました。